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【イベントレポート】脱炭素実現に必要なことは?「脱炭素条例で加速する横浜市の未来〜官民連携を考える〜」

  • On 2021年10月25日
  • #おたがいハマ, Circular Yokohama, NPO法人横浜コミュニティデザイン・ラボ, NPO法人横浜コミュニティデザインラボ, YOKOHAMAリビングラボサポートオフィス, カーボンネガティブ, サーキュラーエコノミー, サーキュラーエコノミーPLUS, サステナビリティ, サステナブル, サステナブルデベロップメント, ゼロカーボン, まちづくり, 一般社団法人YOKOHAMAリビングラボサポートオフィス, 公民連携, 再生可能エネルギー, 地域活性化, 地産地消, 廃棄物削減, 循環型社会, 循環型経済, 日本, 横浜, 横浜市, 神奈川, 脱炭素, 脱炭素社会, 自然エネルギー

2020年10月、菅首相が2050年までの「カーボンニュートラル」の実現を宣言しました。以降、国は2030年までの温室効果ガスの削減目標を46%に設定し、脱炭素化社会の実現に向けた動きを加速させています。

そんななか横浜市では、2021年6月4日に横浜市議会の全会一致により、日本初の「横浜市脱炭素社会の形成の推進に関する条例」が可決され、本格的な脱炭素社会の構築に向けて動き出しました。今後はこの条例を具現化していくため、市域における再エネ・省エネの推進を地域の中小企業の経済活動と連動させることが求められています。

これを受け、一般社団法人YOKOHAMAリビングラボサポートオフィスは、2021年7月28日、「脱炭素条例で加速する横浜市の未来〜官民連携を考える〜」と題したフォーラムを開催しました。当日は、政治家と民間事業者の両セクターから6人のパネリストが登壇し、脱炭素化を軸のした今後の横浜のあり方についてスピーチやディスカッションを行いました。

本記事では、当日の内容から学んだ脱炭素実現のための重要なポイントをお伝えします。

脱炭素化の必要性と課題

そもそも、なぜこれほどまでに脱炭素化が必要とされているのでしょうか。また、横浜が脱炭素化を実現することによって、どのようなメリットがあるのでしょうか。これについて、一般社団法人リビングラボサポートオフィス 再エネ部会会長の舟山氏からキーノートスピーチがありました。

舟山氏「我々がこのまま化石燃料を燃やし続けると、2100年には地球の平均気温が4度上がると言われています。氷河期の平均気温が今からたった4〜5度下でしかないことを考えると、これがいかに重大な問題かということがわかるかと思います。IPCCの資料によると、平均気温が4度上昇すると、『地球規模での重大な絶滅』が起こります。ここで言う“重大な”とは、2100年までに動植物種の40%以上が絶滅するという意味です。つまり、私たちの孫やひ孫は絶滅する可能性があるということ。これを絶対に避けなければなりません。」
スライド

舟山氏「さらに、脱炭素に取り組んでいかなければ、企業は今後不利益を被るようになってきます。

RE100(例:AppleやAirbnbなど)は、2030年までに商品やサプライチェーン全体を含め、カーボンニュートラルを実現すると宣言しています。すると、サプライチェーンに組み込まれている日本企業が再生可能エネルギーで事業を行わなければそこから外されてしまい、国際競争力を失ってしまいます。ですから、企業数の少ない横浜が今後企業誘致をしていくためにも、再生可能エネルギーを使用できる仕組みを整えておくことは必要です。

また、度重なる地震や台風、ゲリラ豪雨……こういった自然災害は年々増加しており、それらが起こったとき、停電によって困る人々が必ず出てきます。これまでは、電気は大手の電力会社が遠い場所でつくり、まとめて供給するものでした。しかし、今後は地域の『分散型電源』で中小規模の電気をつくり、地域の人が非常時に電力へアクセスできる仕組みが必要です。そうなると、今までは受け取るだけだった電気を自分の家でつくり、ときには近所にもおすそ分けできるようになるので、再生可能エネルギーは生命や財産を守るインフラとなるのです。

さらに、横浜市の電力消費は年間約3000億円にのぼりますが、現在はその売り上げや税金が市外に流出しています。地域で電力を発電、供給していけば、横浜市の財政は潤います。」

脱炭素実現に向けた具体的な方策

ここからは、前半で各パネリストが行ったキーノートスピーチをもとに、脱炭素化の実現に向けて具体的に行っていくべき取り組みを、3つご紹介します。

1.市民参加型で政策を実現する「横浜みらい創生プラットフォーム」

自民党横浜市会議員である黒川氏からは、2021年6月2日にオンライン上に開設された「横浜みらい創生プラットフォーム」についての紹介がありました。

このプラットフォームは、市民がオンライン上で横浜のまちづくりに関する議論に参加できる仕組みを備えており、市民の生の声を政策に反映することを目的としています。横浜市民は誰でも意見やアイデアをプラットフォームに投稿することができ、それに対して政府は返答することができます。日本では初めての試みで、スペインのバルセロナで実際に使われているDicidimというプラットフォームを参考にしてつくられています。

黒川氏「現在120人がこのサイトに登録し、800人以上がこのサイトを見にきています。ここでの議論を、条例や政策の見直しに活かし、最終的には来年度の予算に反映するところまで達成したいと考えています。みなさまからの提案やアイデア、意見を募集中です。」
スライド

なお、プラットフォーム上に現在あがっている議題は以下の4つです。

  • 横浜市内の再エネ比率を高めるためには?
  • 建物の省エネを進めるには?
  • エネルギーの地産地消を進めるには?
  • 横浜市脱炭素条例について話し合おう

2.エネルギーを通して人々をつなぐまちづくり

株式会社太陽住建会長の河原氏からは、同社が行う太陽光発電のPPA事業についてのご紹介、そしてエネルギーの供給・使用のあり方が今後大きく変わっていくことについてのお話がありました。

PPAとは、「Power Purchase Agreement(電力販売契約)」の略で、施設の所有者が提供する敷地や屋根などに、太陽光発電設備の所有・管理を行う会社が太陽光発電システムを設置し、そこで発電された電力を施設の電力使用者へ有償で提供する仕組みです。

河原氏「弊社は、2030年までに、横浜市内の福祉避難所に太陽光発電を432か所設置し、一箇所あたり45kw、合計19440kwの電力を生み出すことを目標としています。設置主には、太陽光のパネル42枚とポータブル蓄電池1.5Kwhを、10年間自宅や事業拠点の屋根の賃料の代わりにお渡ししますので、0円で太陽光発電の装置を設置できます。そして災害時には、地域の皆さんに開放するという決まりがあります。
大手の電力会社から乗り換えれば電気料金も少し安くなる可能性がありますし、10年後には太陽光発電設備一式を無償譲渡する予定ですので、経済的にも大きなメリットがあります。」

PPA事業の環境的メリット

河原氏「本事業の第一号として、横浜環境保全瀬谷事業所で太陽光パネルを設置しました。今後は、石井造園やマテックス横浜営業所に設置予定です。本取り組みを、町内会や自治会主導で推進して欲しいと思います。エネルギーを使わない人はいませんから、行政や企業、市民、みんなで団結し、エネルギーを通した地域コミュニティをつくっていきたいですね。」

3.マイクログリッドで地域循環経済を実現

株式会社マクニカ代表の阿部氏からは、エネルギーの「見える化」の必要性について説明がありました。

マイクログリッドとは、一定の地域において、すべての電力負荷を分散型電源から供給する小規模電力系統のことです。長距離の送電が必要ないため環境負荷が抑えられることや、災害時の地域全体の停電のリスク回避の観点で、近年注目されています。また、スマートグリッドとは、電力の流れを供給側・需要側の両方から制御し、最適化できる送電網のことです。

阿部氏「横浜市は大都市ですが、再生可能エネルギーの発電が可能な面積は大きくありません。そこで、横浜市は2018年、北東北を中心とした12市町村とのエネルギーの連携協定を締結しました。協定を締結している土地でつくることができる電力は、横浜市の使用電力の量を優に超えています。しかし、横浜にはその電力の受け皿となる制度や事業体が少ないため、直接電力を持ってくることがあまりできていないのが課題です。そのため今後は、地域循環共生圏を促進し、横浜にスマートグリッドをつくっていくことが必要だと考えています。」

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阿部氏「そこでまず必要となるのが、地域エネルギーを『見える化』することです。

今は、隣の家やまちなかのビルで、どのくらい電気を使用しているのかを知ることはできません。しかしこれからは、電気は電力事業者から一方的に購入するものではなく、『自分でつくって自分で使う』、もしくは『隣の家に分けてあげる』ものになります。それを実現するためには、まず最初に、誰がどのくらい電気を使用しているのかを見える化して分析し、電力供給の予測を立てる必要があります。

実際にスマートグリッドが実現すると、再生可能エネルギーの制御をエリアごとに行いながら、住宅やビルではLEDや冷暖房の最新化や断熱材の塗料や紙などの最適化などを組み合わせ、大規模な省エネが可能です。そして、公共施設、医療機関、職業施設などで市民が使える、電気をコアにしたさまざまなアプリケーションやサービスが生まれてきます。」

今後株式会社マクニカでは、スマートグリッドの実現のため、スマートエネルギーサービスや再生可能エネルギーの調達と配給、地域内の再エネ発電促進とそのシステム構築、蓄電池活用事業の展開などを行っていきたいとしています。

パネルディスカッション「脱炭素社会に向けた官民連携のあり方を考える」

フォーラムの後半では、参加者によるパネルディスカッションが行われ、いくつかの問いについてさまざまな意見が交わされました。

ひとつめの、「脱炭素社会を実現するために大切だと思うキーワードは?」という問いに対しては、「連携」「可視化」「地域コミュニティー」といった現実的なキーワードから、「やればできる」「器と魂」など、私たちのやる気や熱い想いこそが重要なのだというメッセージがこもったキーワードもあがっていました。
黒川氏

「どのような横浜市の未来をつくっていきたいか?」という問いに対しては、舟山氏から「脱炭素で人が呼べるまちづくり」という印象的な意見がありました。脱炭素を軸にダイナミックな政策を行い、他の地域から人を呼べるようになれば、横浜市の経済的なメリットにもなるとのことです。

また、「官民それぞれが、お互いに何を期待しているか?」という問いに対しては、自民党横浜市会議員の山下氏から、「政治家として、若者が横浜で新しいビジネスを立ち上げやすいような環境をつくることが必要だと思っています。横浜はもともとチャレンジングな街ですから、若い世代に横浜で一緒に新しい取り組みをやろう、と言えるようにしていきたいですね。」というメッセージがありました。

民間事業者の立場からは、株式会社マクニカの代表の阿部氏から、「横浜市の中での連携を強化するために、役割がバラバラになっている人たちが連携できる仕組みが欲しいと思っています。」とのメッセージがありました。

パネルディスカッションの最後は、コーディネーターの加藤氏から、「脱炭素の究極のゴールは、我々市民が幸せになること。そのためには、全員がこれに関わらなければいけない。裏を返せば、それぞれの立場で絶対にできることや役割があるということではないでしょうか。」と締めの言葉がありました。

編集後記

脱炭素を実現するために今大きな課題となっているのが、私たちが日々使っている電力を再生可能エネルギーへ移行することであり、そのためには、エネルギーの地産地消や地域連携が必要であるという議論の方向性を、意外だと感じた人も多いのではないでしょうか。また、「脱炭素」と言われると壮大で難しそうに聞こえてしまいますが、本フォーラムを通して、私たちの生活やエネルギーとの関わり方が実際にどのように変わっていくのかをイメージすることができました。

今回のフォーラムでは再生可能エネルギーへの移行が主な話題となっていましたが、エネルギー以外の点で私たちの生活を循環型に移行していくことも、脱炭素化には欠かせません。今後は脱炭素に関する議論の中に、より広い意味での循環型社会への移行に関する話題があがってくることにも期待したいです。

登壇者一覧

パネリスト
山下正人(自民党 横浜市会議員)
黒川まさる(自民党 横浜市会議員)
中島光徳(公明党 事務局長)
舟山大器(一般社団法人リビングラボサポートオフィス 再エネ部会会長)
阿部博(株式会社マクニカ)
河原英信(株式会社太陽住建会長)

コーディネーター
加藤佑(ハーチ株式会社代表)

司会
野村美由紀(一般社団法人リビングラボサポートオフィス理事)

オンライン参加
河原勇輝(一般社団法人リビングラボサポートオフィス 再エネ部会代表)

主催
一般社団法人YOKOHAMAリビングラボサポートオフィス

【参照記事】脱炭素社会実現に向けた市民のアイデアを募集する「横浜みらい創生プラットフォーム」開設
【参照記事】横浜のテクノロジー企業株式会社マクニカ、Cleanwatts社と提携し、再生可能エネルギーの管理システム「Kisense(R)」を提供開始
【参照記事】横浜環境デザインと太陽住建が 「おひさまおすそ分けプロジェクト」と「LED’S」を始動し、エネルギーの地産地消を実現

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